一口馬主とは?仕組みやメリット、デメリットを解説します

一口馬主の仕組みとメリット・デメリットを解説 競馬の話題

4月13日のアーリントンカップ(GⅢ)を制したのはディスペランツァ。この馬は一口馬主クラブ・ターファイトクラブの募集馬でした。

競馬好きなら「一口馬主」という言葉を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?ロードカナロアジェンティルドンナを筆頭に、最近はどんどん存在感を増している一口馬主クラブの馬たち。

どんな仕組みなのか、このページで説明していきたいと思います。

一口馬主とは?

一口馬主とは、1頭の競走馬の所有権を40~10,000口に分け、出資することで馬主気分を疑似体験できるシステムのことです。

実際の馬主になるには資産や年収などの高いハードルをクリアしなければいけないのですが、一口馬主であれば一般の競馬ファンでも「馬を持つ」ことが可能になります。競馬ファンの中には自分の馬を持ちたいと思ったことがある人も多いと思いますが、POG(ペーパーオーナーゲーム)とは違い、実際にお金を支払うことで得られる楽しみがあるのが一口馬主です。一口馬主ののべ会員数は、一説には5万人とも7万人とも言われています。

一口馬主のメリット

5万人以上の人が楽しんでいるといわれる一口馬主にはどんな魅力やメリットがあるのでしょうか。

競馬の見方が変わる

愛馬の出走を「子供の運動会を見るようだ」と例える人がいます。通常、クラブでは1歳の秋頃から出資会員の募集が始まり、デビューまでおよそ1年。1年間、成長を見守ってきた仔馬がデビュー戦を迎える瞬間にこのような気持ちになることは想像しやすいかもしれません。

このように、たとえ負けたレースであっても「いい走りだった」「次こそ勝てる」と感じられて、馬券とは離れたところで競馬を楽しむことができるのが魅力の一つです。

仮にケガをしてしまって、そのまま引退してしまうケースもあるかもしれませんが、それを乗り越えて勝利した時の感動はたとえ下のクラスのレースであっても計り知れないのではないでしょうか。これまで知らなかった、勝つことの大変さやデビューの難しさを知り、違った競馬の見方ができるようになることが最大の利点だと思います。

命名・口取りができる

多くのクラブでは、出資した会員によって馬名応募が行われています。最終的には数多く寄せられた馬名候補からクラブが選定して決定されますが、自分が考えた渾身の名前が採用される可能性があります。自分が付けた馬名が競馬新聞紙上に載ったり実況で呼ばれることを考えるととてもワクワクしてきますよね。

命名と並んで一口馬主の特権と言えるものが、口取り写真撮影への参加です。愛馬が優勝した時にウィナーズサークルで行われる騎手や調教師との記念撮影に加わることができます。

週末の競馬への出走が決まるとクラブは参加者を募集し、抽選などで10名が選ばれます。重賞レースでは20名までの参加が許されています。

自分が競馬場に応援に行ける日の参加抽選に通り、それでいて期待通りに勝利しないといけないので可能性は高くありませんが、だからこそ口取り写真は宝物になるのではないでしょうか。

配当金が貰える

一口馬主は厳密にいうと、競走用馬ファンドの取引にあたるため、運用によって配当金を受け取ることができます。このため上手く運用して、利益を上げている人もいます(多くはありませんが)。

このほかにも、愛馬を追いかけて各地の競馬場、時には海外まで応援に出向く楽しみがあったり、愛馬だからこそ獲れる大穴馬券など、魅力はたくさんあります。

金融商品ではありますが、投資として捉えるとリターンはそれほど望めず、優秀な商品とは言えません。にもかかわらず広く一口馬主という存在が広まっていることこそ、大きな魅力・メリットがあることの何よりの証明ではないかと思います。

一口馬主のデメリット

一口馬主は金銭での出資を伴うものなので、いくつかのデメリットも存在しています。

金銭面での負担

一口馬主に掛かる主な費用としては競走馬出資金維持費会費の3つが上げられます。競走馬出資金は馬代金とも言われ、維持費出資金は飼葉代やエサ代、維持費と呼ばれたりします。

競走馬出資金は一度しか発生しないもの(分割払いもある)ですが、維持費月会費は毎月掛かるもので、これらの負担は基本的には免れることはできません。愛馬が稼ぐ賞金によって毎月の支払いを減らしたりプラスにできれば楽ですが、例えば1年間の休養を要する怪我などをしてしまった場合、引落しだけがされていく状況になります。

しかしある程度のお金が毎月掛かるのは承知の上で会員になる方がほとんどでしょうし、金銭的な負担には目をつぶるほかありません。

出資馬が活躍してくれない…

これだと思って出資した馬が、デビューしてみると思ったほど走ってくれず、3歳秋までに勝ちあがれずに未勝利で引退というのも、一口馬主にとっては良くあることです。現在は保証制度も廃止されているので、その時のダメージは大きいものになります。

欲しい馬が買えない…

重賞をバンバン勝つような成績上位のクラブでは、素質馬の取り合いという面が少なからずあります。過去数年の出資実績が考慮されるクラブや、母馬所有者による優先枠が設けられているクラブなどがありますが、そういったアドバンテージがない会員は抽選に賭けるほかありません。

抽選で落ちて出資できなかった馬がGⅠ馬まで出世してしまうということもよく起こります。

出資馬が思うように出走しない…

せっかく出資した馬が体調も良さそうなのになかなかレースに出ない!なんてことが起こるケースも良くあります。厩舎にはそれぞれ20~30程度の馬房が割り当てられていて、馬は厩舎の馬房に入厩していないと競馬に出走できません。有力厩舎は上級クラスの馬を数多く抱えていることが多く、下級クラスの馬の入退厩はどうしても優先されません。そのため「馬房が空かない」という理由で放牧期間が長引いたりします。

また、せっかくレースに出たのに、馬房を回転させる都合ですぐに放牧に出されてしまうことも良くあります。

一口馬主でよりディープな競馬の世界へ

メリットとデメリットがある一口馬主ですが、競馬ファンなら趣味を楽しみながら利益も期待できるという、一石二鳥が期待できるものです。

最近ではノーザンファーム系のクラブの天下が続いていることもあり、一口馬主の知名度は右肩上がり。ぜひ出資を検討してみてはいかがでしょうか。

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